第一章 11




  こうと決めたからにはとことん最後までやりぬく私だけど、

  次の日にはかなり後悔していた。





  「ヒナタ様、腕をあげてください。」

  「ヒナタ様、こっち向いて。」

  「ヒナタ様、このような生地はいかかでしょうか?」

  「ヒナタ様はこの色はお好きじゃないですか?」

  私の周りには今、人が10人ぐらいたかっている。

  儀式用のドレスを縫うために準備をしてるのだけども、

  今までこんなことしたことない私には苦痛以外なにものでもない。

  だーれーかーたすけで〜。

  「コンコン」

  あ、ニコ!!たーすーけーてーーーー。

  「陛下がお呼びですわ、ヒナタ。

   ・・・・・・・。ブブッ。」

  ひどっ。私の泣きそうな顔を見て笑いやがった。

  後でみとれよ。ニコのやつ。

  王様のおよびとなれば何事よりも優先しなきゃといって、

  集まった彼女達に後はニコに任せてるのでと伝えて逃げてきた。

  寸法も測り終わったし、だいたいのことはもう伝えたしね。

  ということで王様の部屋に。





  「失礼しまーす。王様なんですか?用事って。」

  「ロンだ。」

  「は?」

  「王様じゃなくてロンだ。」

  「え?ああ、名前ね。なんで急に?」

  「お前が自分のこと名前で呼べって言っただろう。ならばお前も

   オレのこと名前で呼ぶべきだ。大体オレ以外には皆名前で呼ぶのに・・・・。」

  あれれ、気にしてたんだ。

  「だって、王様を名前で呼ぶとさすがに失礼かなって。」

  「お前は自分を一人の人間として見てほしいと言ったそうだな。

   じゃあお前もオレのことは一人の人間として見てくれないのか?」

  「え?見てるけど・・・。さすがに名前は・・・。」

  「オレがいいって言ったからいいんだよ。決まりだ。」

  「わかった・・・。ロン・・・ね。」

  「・・・・。うん。」

  ・・・・・・・・・・・・・。なんだかな、この空気。

  はずかしいぞ。照れるぞ。

  「ああそういえば用事ってなんだったの?」

  「お前がそろそろ辛いだろうからってお茶でも誘ったんだ。」

  「おお〜。さすが〜。気が利くねぇ。もう、みんなすごいんだもん。

  あんなこと初めてだったし。」

  「お前のいたところでは服とかはどうやって決めてたんだ?」

  「ああ、それはね・・・・。」







     その後は私の世界の話で盛り上がった。いろんなことに興味があるロンは

  何でも聞いてきた。私に答えられることは答えたけど

  さすがにパソコンの仕組みとかはわかんないからさ。

  いまさらながらいろんなこともっと勉強やっとけばよかったと後悔。

  彼との話はとても楽しくあっという間に時間が過ぎた。

  気づけば夕食の時間になっていた。

  夕食も一緒にと言われたのでずうずうしくもロンの部屋で食べた。

  食べてる間もいろんなこと話てて。

  怒ったり笑ったり急がしかったけどとっても楽しかった。

  いい加減寝る時間になってきてニコが迎えに来た。

     ヤツは意地悪と思ったのに意外といいヤツだった。

  多少、意地悪なところがでてたけど。

  うん、また遊びに行こう。今度こそ、自転車の乗り方教えてあげよう。

  ニコニコしながらお布団に入ると、

     「なんだか、よっぽど楽しいことあったみたいだね。」

  「うん、ロンって意外といいヤツだってことがわかった。」

  ニヤニヤされながらもお休みなさいっといわれ部屋の明かりを消された。

  なんでにやけるんだよぅ。なんかへんなこと言ったかなぁ。

  まあ、いっか。明日も早いし、寝ることにしよう。









    






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