第一章 12




  それから私は毎日彼のところへお茶を楽しみに行った。

  お仕事があるから悪いなと思っても誰かが私を呼びに来る。

  呼びにきてもらうのも悪いので午後のなると自分からロンの

  部屋に行った。





  「ねえ、そういえばこの前、弟さん妹さんがいるって聞いたけど

     まったく見かけないのはなんで?」

  「ああ、王宮内にはいるよ。だけど家庭教師がついてるからきっと出てこれないんだと思う。」

  「うわ〜。厳しいんだ。やっぱり」

  「弟はハリーといって12歳なんだけど勉強が好きでね。

  家庭教師に自分がくっついてるような感じだよ。

  妹はベルといって9歳なんだけど人見知りでね。

  でも、今度2人に合わせるよ。」

  ロンにハリーかぁ。ぷぷ。まさしく某有名小説の主人公の名前じゃん。

  ハリーはめがねかけてたらすごいよ。

  それにしても兄弟の話になると、表情が優しくなるなぁ。

  きっとすごくかわいがってるんだろうね。

  この美形の兄弟なんだもん。かわいいんだろうなぁ。

  私は一人っ子だったから下の兄弟がすごくほしかった。

  いたらむちゃくちゃかわいがってたと思う。

  だからロンがすごくうらやましいよ。

  そんな会話をした帰り私はこの兄弟の一人と遭遇した。

  のちのちこの兄弟にはかなりやられるなんてことは思っても見なかった。







  ロンとのおしゃべりを楽しんだ後晩御飯まで時間があって暇だから王宮内を探索していた。

  うろうろしてたら図書館に出た。

  こっちの本ってどんなもんなんだろうとちょっと覗いてみた。

  すっごく広くって本も沢山あって、十分時間をつぶせそう。

  本を眺めながら歩いていたら少年が高いところの本をとろうとしてるけど

  とても手がとどかなそうだったのでとってあげた。

  なのに、

  「ご苦労。」

  とだけ言うとその少年は去っていった。

  なに?この生意気なガキは。何様やちゅうねん。

  「ちょっと、こういうときはご苦労じゃなくってありがとうでしょ。」

  追いかけていって注意した。

  なのに無視。マジむかつくんですけど。

  「人が注意してるときはちゃんと相手の話を聞きなさいって言われなかった?」

  「自分より目下の者になぜそういわれなければいけない。」

  目下ですって?ふざけんな。

  「目下って、明らかにあなたよりも年上でしょうが。

  年上にはちゃんと敬意を払うべきだって親から習わなかった?

  学校の先生から習わなかった?」

  「あいにく両親は数年前に他界したので。

  それに学校などそんなところには行っておらん。

  大体お前は何者なんだ。この私に小うるさく注意して。

  どこの役所のものか?それとも新人のメイドか?」

  「人にものをたずねるときは自分が先に話すのが当たり前でしょ?」

  だんだんこの少年と喧嘩になりそうだったところ、

  「ハリー様、いかがされましたか?」

  と司書さんらしき人があわててやってきた。

  ハリー?

  「もしかしてロンの弟?」

  「兄上をなぜそのように呼ぶ?お前、何者なんだ。」

  「ヒナタだよ。この前話した予言の少女だよ」

  後ろからさっきまで聞いていた声が・・・・。

  「兄上。」

  「ロン」

     同時に名前を出してお互いににらみ合う。

  「ヒナタにはオレがそう呼んでくれって言ったんだ。

  それにハリー、ヒナタの言ってることは決して間違っていないぞ。」

  「だって・・・。」

  「だってじゃない。ちゃんと謝るんだ。」

  「え?僕が?」

  「お前は自分が悪いということはわかってるんだよな。

  じゃあ、どうするべきかわかるだろう。」

  「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。ごめんなさい。」

  おお、あやまったよ。絶対謝らないと思ったけど。

  お兄さんのいうことはきくんだな。

  「ヒナタも許してやってくれないか?」

  「ああ、私も子供相手にむきになりすぎたよ。私もごめんね。

   じゃあ、これで仲直りしよう。」

  と手を差し出したらびっくりされたけどおずおずと手を握ってくれた。

  なんだか、かわいいなぁ。

  と思ったのもつかの間、翌日にはまた喧嘩していた。









  「大体、ヒナタは筋肉バカなんだよ。なにかにつけて暴力で訴える。」

  「なに?あんたが根性曲がってるから愛のムチあげてるだけでしょ?」

  「そうゆうのを虐待って言うんだよ」

  「ちがうもん、愛が入ってるんだもん。あなたもちょっと肩を叩かれたぐらいで

  ピーピー騒ぐんじゃないわよ。ひょろひょろしすぎなの。

  もちっと体力つけなよ。」

  「僕には必要ないんでね。人間得意分野とそうじゃない分野とあるだろ?

  僕は勉強が得意だからそれを伸ばして兄上を支えていくんだ。

     体力なんかだれも僕に求めてないし必要ないんだよ。」

  「人を支えるには病気にならないように体力も必要でしょうが。

  だいたいねぇ、ちびっこの分際で顔が青っ白いのが気に入らない。

  子供は外で遊んでなんぼなの!!」

  「え〜やだよ。そんなの、汚れるし。」

  「子供の分際で汚れなんか気にするな〜!!」

  そういいながら無理やりハリーを外に連れ出した。

  最初はイヤイヤだったけど動物達に協力してもらって木登りやら

  泥んこ遊びやら一日楽しんだ。

  やっと子供らしい表情になったハリーと子供と同レベルで遊んでるヒナタを

  ロンは窓から微笑みながら見守っていた。

  









    






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