第二章 3




ベルとともにテラスのテーブルについた。

 ニコにお茶セットをもってきてもらう。

 その間もベルは下を向いて黙っている。

   「どうぞ」

 そういって私は彼女に紅茶を入れた。

 ここにきてからニコにいれ方を教えてもらって

 今ではすっかり上手に入れられるようになった。

 「で、具合はよくなったんですか?」

 「・・・・・」

 やっぱりだんまりですか。

 「お花可愛かったでしょ?ベル姫に似合うとおもって・・・・」

 「なんで私をせめないの?」

 うるうるした瞳で訴えてきた。

 「なんでって、その前に私があなたにいやなことしちゃったんでしょ?」

 「・・・・・・・。」

 「どうして嫌いなのか考えてみたけどわからないの。理由を教えてくれる?」

 「・・・・・・・。」

 「もしかしてロンが関係する?」

 「・・・・・・・。」

 ベルはまた下を向いた。

 「ボソボソボソ・・・・。」

 「え?」

 「兄様をとった・・・・。」

 やっぱりか。そうだよな。

 「ハリーもとった。」

 ハリーはただ遊んでるだけだよ?

 「自分だけ動物達と話してるし・・・・。」

 それは自分でも不思議だけどさ。

 「私とは話してもくれないし・・・・。」

 もしかして、かまってほしかった?自分だけ相手にされなかったことを怒ってるの?

 か、かわいい〜!!

 思わず、ベルのところにいって抱きしめてしまった。

 「な、なにするのよ!!私はあなたが嫌いっていってるのよ!!」

 真っ赤になって抵抗している。ううう、かわいい・・・。

 「うんうん、わかった。わかった。」

 「何もわかってないじゃない!!」

 「う〜。かわいいなぁ、もう。」

 耳まで真っ赤になっている。

 抱きしめながらベルに話した。

 「とったとかじゃなくってさ、お姉ちゃんが出来たって思ってくれるとうれしいなぁ。」

 「姉様?」

 「そう、男の人とたちには話せないこととか沢山話せるようになりたいな。あなたと。」

 「たくさん?」

 「そう、いーっぱい。ね。私も妹ほしかったんだ。」

 「ヒナタ、兄弟いなかったの?」

 「うん、兄弟どころか、両親も死んじゃったの。だから、ずっと一人ぼっちで暮らしてたんだ。」

 こっちに来て今まで誰にも話してなかった日向の家族の話。

 「一人ぼっち・・・・。」

 「うん、友達はいたけど家では誰もいなかった。だから、ここに来てたくさん家族が出来たみたいで

 すごく嬉かったんだ。」

 ヒナタの話にじっとおとなしくなっているベルの髪を優しくなでた。

 「ベルにはなかなかあえなかったからね。ごめんね。私からちゃんと会いに行けばよかったね。」

 頭をなでられ急に下を向いたベル。

 「どうかした?」

 と顔を覗き込むとベルは泣いていた。

 「ごめんなさい。ごめんなさい。」

 何度も謝りはじめヒナタは戸惑った。

 「私だけのけものにされたみたいでさみしかったの。だからこっち見てほしくってたくさん嫌がらせしちゃったの。

 私、すごくいやな子なの。」

 「確かに悪いことたくさんしちゃったね。でも、悪いことしながらも心が痛かったでしょ?」

 大きくうなずく。

 「それにもう二度とこんなことしたくないでしょう?」

 大きくうなずく。

 「じゃあ大丈夫よ。うん、あなたはいい子だわ。」

 そうやってベルの頭をよしよしとなでた。ベルは大声で謝りながら泣いた。

 ふと気がつくと動物達がまわりに来ていた。

 犯人はベルだとわかってたから心配してきたのだ。

 「もう泣かないで。ほら、あんまり無くと彼らが心配しちゃうよ。」

 「? あ・・・・。」

 いつの間にか、動物達に囲まれていたのに気づき驚いている。

 そして見る見るのうちに喜びの顔と変わっていく。

 「みんなね、ベルを心配してたんだよ。」

 「ほんとう?」

 「うん、ね、みんな。」

 そうみんなに話かけるとみんなうなずく。

 「すごい、ヒナタ、ほんとにみんなとお話できるんだ。いいなぁ。」

 「大丈夫よ、あなたもすぐにみんなとお友達になれるよ。」

 そういってたら小動物たちが足元に来てくれた。

 「だっこしてもいい?」

 「どうぞ、やさしくね。」

 「うわぁ。あたたかい・・・。」

 みんなに触れられてベルは心から笑っている。こどもはやっぱり笑わないとね。

 王族とか堅苦しいことばかりじゃかわいそうだ。

 ふと、ロンのことを思い出した。

 彼は大丈夫だろうか?

 まだ、若いのに王様になってしまった彼にとって安らぎはあるのだろうか?

     









    






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