第二章 2




     「はぁ〜。」

  大嫌い宣言から一週間。ただため息ばかり。

  いったい彼女に何をしたんだろう。

  今まで17年間生きてきて正面きって

  嫌いといわれたのは生まれて初めてだった。

  かなりのダメージだね、これって。

  でも考えようには影で言われたり

  嫌がらせうけるよりずっといいや。

  相手がわかってる分、どうしようか考えやすい。

  きっと私の知らないうちに彼女を傷つけたんだね。

  その何かをちゃんと知って謝るべきだよね。



  うん。

  ということで彼女に会いに行こう。

  「ニコ、ベル姫の部屋ってどこ?」

  「一週間、ため息ついて悩んでるかと思えばそれなの?」

  「はは。ばれてた?」

  「あんなにため息つかれちゃあねぇ。それにぶつぶつ考えてること

  口にでてたよ。」



  ニコは主の心配事については何も知らなかった。

  ぶつぶついってるが、聞かないほうがいいと思ってきかないようにしていた。

  知らないがずっと心配はしていたのだ。

  しかしいつか主が話してくれるだろうと信じていた。

  「げ、私、独り言でてたの?」

  「もしかして今まで気づかなかったの?

  ヒナタ、考えてることいつも口にでてるのよ。」

  がーん。あ、もしかしてロンのヤツ私の考え読んでるんじゃなくて

  独り言を聞いてただけなの?

  「ぷぷ、そうだと思うよ。」

  またしても考え事が口に出てたらしい。むむ。気をつけないと。

  「とにかくベル姫のお部屋を教えて。解決したらすべて話すよ。

  もし、もっとこじれたら・・・・・。相談にのって。」

  「わかった。いってらっしゃい。」

  そういってベル姫の部屋を教えてもらい彼女の部屋に向かった。



    その途中、ロンと遭遇。

  むむ、天敵発見。

  「天敵ってひどいなぁ。」

  ニヤニヤしながらロンは言う。

  「ちょっと、私の考え読んでたんじゃないってわかったわよ!!」

  「なんだ、残念。ばれたか。」

  ペロッと舌を出した。あ、馬鹿にしてやがる。

  「ちょっと!!」

  ロンをバシバシたたいてみても、

  「いててて。」

  といいつつにやけてる。くーやーしー。

  悔しがってる最中、

  「兄様!!」

  遠くからかわいらしい声がした。

  「ああ、ベルこっちにおいで。」

  とてとてとてとて・・・。

  あのかわいらしい少女が目の前に来た。

  「ヒナタはまだあったことないよな。儀式のときにも一応いたんだけど

  なにせすごく恥ずかしがりやなんでね。オレの妹、ベルだ。」

  「ベルといいます。予言の少女様ですよね。よろしくお願いします。」

  それはそれはお辞儀の手本のように優雅にお辞儀をした。

  見とれてしまった日向だがすぐに、

    「あ、菊池 日向といいます。よろしくお願いします。」

  といった。

  なんだか、拍子抜けしてしまった。

  「兄様、今日こそ一緒にお茶していただけませんか?」

  それはそれは愛らしい表情でロンにたずねた。

  「ああ、今からヒナタと一緒にお茶でもしようと思っていたんだ。

  ベルも一緒に・・・・」

  そこまで言うと彼女は目に涙をいっぱいためていた。

  な、泣きそう・・・。

  「では私はけっこうです。ヒナタ様と楽しんでください。」

  そういうと彼女は去っていった。

  「ねえ、私はいつでもいいからさ、ベル姫とお茶してあげなよ。」

  「いや、いいんだ。あいつはちょっとは兄離れしないと。」

  「でもさ、泣いてたよ。寂しいんじゃない?」

  「わかってるよ。」

  「わかってないよ。いいよ、じゃあ私がベル姫とお茶してくる。

   その後にロンところに行く。」

     プリプリ怒ってヒナタはベルの後を追った。

   「オレはベルの後かよ・・・。」

  そういったロンのつぶやきは一切耳に入ってなかった。





     ベル姫の部屋をノックする。

  「どなたでしょうか?」

  「ヒナタです。」

  そういうとメイドさんが出てきて

  「今、ベル様はご気分が悪いのでお話できません。」

  といってきた。

  門前払いか。今は去るしかないのかな。

  あ、そうだ。

  「わかりました。じゃあ、また来ます。」

  といってベルの部屋を去った。

  すぐにニコのもとへ行ってとある場所を聞き出し、

  その場所に向かった。

  そして目的のものを手に入れるともう一度ベルのもとに行った。

  「あの、また来ました。ベル姫はまだ気分が悪いんですか?」

  「ご気分はかわりません。」

  「じゃあ、お見舞いにこれを渡してくれませんか?」

  そういって花束をメイドに渡した。

  「ほんとは会って話したいことがあるから早くよくなってって伝えてください。」





     ベルの部屋をでたあと、動物達と一緒にいた。

  「どうしたもんかねぇ。」

  『どうしたもんかねぇ』

  はぁ。ベルが私を嫌いって言った意味がなんとなくわかった。

  ロンをとられると思ったんだろう。

  自分と過ごしていた時間が私との時間に変わり

  きっと寂しい思いをしたにちがいない。

  両親も亡くなってるし甘える存在がなくなってしまうとおもったんだろう。

  別にロンとは何もないのに・・・。

  ロンだって私のこと予言の少女としか思ってないだろうし。

  私だって、ロンのことは・・・・。

  ・・・・・・・・。

  私にとってロンは何なんだろう。

  動物達は私の独り言をきいてニヤニヤしてる。

  なんだよう。

  睨み付けてると遠くから足音が。

  振り向くとベルが立っている。

  「ベル様・・・・。」

  少女は私を見るとすぐに視線を下に落とした。

  「こっちに来て少し話しませんか?」

  そう、まずはお話しないとね。

  









    






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