第一章 9




  早くに寝たら早くに目が覚めるのは当たり前。

  夜明けとともに目が覚めた。

  ベランダにでて動物達とおはようの挨拶を交わし、

  顔を洗ってジャージ着替えて竹刀を手入れしてたら

  ニコが来た。

  「おはよう、ヒナタ。もうおきてたの?まだ朝早いよ・・・・。

  ねぇ、なにそのへんてこな格好。」

  「ああ、これね、ジャージといって運動するときにいい服装なんだ。

  見かけはおかしいかもしれないけど動きやすいし暖かいんだよ。」

  「なんで運動する格好してるの?」

  「うん?朝稽古したくって。ねえ、どこかに武道とか稽古する場所ある?」

  「あるけど。まさか、剣術とかもするの?」

  「うん、一人でも出来るやり方もあるから場所さえあれば一人でやるんだけど」

  「それならコーナンに相談したら?毎日この時間は稽古してるはずだし。」

  わーい。体毎日動かさないとなまっちゃうんだよね。

  ニコに武道場を教えてもらいコーナンを探しに行く。

  武道場にはすぐ着いたけど、まだ朝早いせいか誰もいない。

  どうしよっかぁ。

  「もしかしてヒナタ様?」

  振り向くとコーナンが。

  「よかったー。朝練習しようと思ってここに来たのはいいけど誰もいなくって。

  初めてなのに勝手に入っちゃ悪いし困ってたの。」

  ニコニコしながら日向は言った。

  この人はどうしてこう予想もつかない行動をするんだろう。

  コーナンは日向を見ながらまたもや驚いて黙っていた。

  「あ、もしかして迷惑だった?それならどこか違う場所で・・・・。」

  「いえ、違います。ちょっと驚いてるだけで。

  いま、武道場空けますのでちょっと待ってて下さい。」

  「ねえ、コーナン。いくつなの?」

  また、この人は脈絡の無いことを・・・・。コーナンは心の中でつぶやいた。

  「20歳ですが何か?」

     「じゃあ、私のことは敬語使うのやめてね。

  そんなだいそれた人間じゃないし。なれてないし。

  どっちかというと私がつかわなきゃいけないのね。ごめんなさい。」

  「え・・・・?」

  頭を下げた日向に当惑した。

  予言の少女といえば誰もが敬意を払う人物。それが当たり前だった。

  なのにこの人物はそれをやめてくれという。

  なんと、不思議な少女だろう。

  「いえ、謝らないでください。頭を下げられると困ります。」

  「なんで?悪いことをしたら頭下げて謝るのはあたりまえでしょ?」

  「あなたはいい両親に育てられましたね。」

  「・・・・・・。」

  日向が下を向いて黙ってしまった。

  「?どうかされましたか?」

  「ううん、なんでもない。ありがとう。」

  「とにかく敬語はやめられません。あなたは予言の少女ですから。」

  「予言の少女というより一人の人間として扱われるほうがうれしい。

  あなたが敬語をやめてくれないから私もあなたに対して敬語使うから。」

  変な脅しをかけてきた日向に対しもはや白旗状態。

  「まったく、かなわないな。」

  「やったー!!勝った!!ついでに日向様も厳禁ね。日向って呼んで。」

  「そ、それは・・・。」

  「だめ、コーナン様って叫ぶから。」

  「わかったよ。ほら、他の連中が来るからいくぞ。」

  んん〜。なんだか、楽しくなってきたぞ。

  と、思った数分後。日向は後悔していた。

  「コーナン、強すぎる・・・・。」

  「お前が手を抜くなって言ったんだろう。」

     「そうだけどさ・・・・。う、イタタタタ。これが乙女にする仕打ちなの。」

  「あれ?予言の少女よりも一人の人間として扱われるほうがよかったんじゃないのか?」

  「そうは言ったけどさ。う〜、鬼。(ボソッ)」

  「・・・・・聞こえてるぞ。」 

  あはははは〜。でも強い人がいると鍛えてもらえるからいいな。

  いい練習になるよ。







    「ひ〜な〜た〜」

  入り口にニコが立っていた。

  「もうそろそろご飯の時間だよ。

     王様のところにも行かなきゃいけないでしょ?」

  「ああ、いっけない。コーナンありがとう!また相手してね!」

  日向はあわててニコと去っていった。









    






inserted by FC2 system