最終章 3





 





 
 

 なんとなくわかっていたので、私は制服に着替え、

 カバンにジャージや持ってきていたものを入れて持ってきた。

 自転車は・・・・・。

 ロンが気に入ってるみたいだから置いていこう。

 準備を整えてニコの後に続いた。



 
 ニコに連れてこられたのは、今まで行ったことのない地下にあった広い広い部屋だった。

 そこにはテーブル一つも無く年代の国王の肖像画だけが並べられており、

 今まで見たこともなかった為、一つ一つゆっくりと見ながら前に進む。


 一番前の肖像画にたどり着く。


 あれ、この人・・・・・。


 「ロン様にそっくりでしょ?」

 私の横でニコがニヤニヤしながら言う。

 「そっくりというか、そのままというか。」

 髪は長くしてあったけど、目も鼻も口も。

 柔らかく微笑んでる姿は、ロンにしか見えない。

 「この人は、一代目の国王。ロナルド・ブレギュラー・一世。」

 え?

 その名前は、ロンと同じ。

 「そうなの。西の魔女にだけ伝えられていたけど予言をしたのは魔法能力の長けていた

 一世で、自分が生まれ変わることもそのときに何が起こるかもすべて占いで見えていたらしいの。」


 ロンは、生まれ変わり・・・・・・。

 「それであの予言をして、この世界を守ることにしたの。

 それと同時に、自分が死んだら異世界の少女を魂だけとなっても守り続けると決めたんだって。」

 魂だけとなっても守る・・・・・・。

 「だからヒナタは危なくなったり何かあったとき、彼に会ったことがあるはずだけど?」

 彼に?

 あ。いつも夢で私に語りかけてきていた・・・・・・・。

 「まあ、自分も生まれ変わってるのにヒナタに語りかけているのはかなりの力が必要だった。

 自分には魔法能力があったけど、今のロンに無いのは力をヒナタに力を分散していたから。

 だから、もう力はほんのわずかしか残ってないの。」




 残りわずか。




 「ヒナタを元の世界に戻せるのが精一杯だと思う。」


 

 元の世界に戻す。


 「元の世界に返すときは、誰にも見られちゃいけないの。

 見られるとその人の想いが時空にゆがみを与えてしまうから。

 だから、たった一人でこの部屋に来てこの肖像画に向って立ってこの魔方陣の中に立って。

 それで元の世界に帰れるから。」


 ニコが指した場所には、綺麗な花柄の、ひまわりに似た花の絵が描いた魔方陣が大きく描かれていた。

 魔方陣なんか、生まれてはじめてみたけど、ニコらしくってかわいらしい。

 


 たった一人で元の世界に帰る。

 来るときもたった一人だったよね。



 ニコは私をじっと見て静かに言った。



 「これが予言のすべて。

 帰る心の準備ができたら声をかけて。」



 帰る準備。

 残された時間は少し。

 みんなにさよならを言わなければいけない時がきた。

 


 ロン。





 ロン・・・・・・。



 肖像画のロンは優しく微笑んでいた。

 私はそれを呆然と立ち尽くして見上げていた。

























 

 




  









    






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