最終章 1





 





 




 
 空が青い。

 どこまでもどこまでも青い空が続いている。


 さっきまであんなにたくさんの雲がどんよりとスターター国の

 カーテンのようにのしかかっていたのに、

 今は雲ひとつない空になった。

 

 王宮の屋上に大の字になった。

 ロンやロールたちはアラン王子を手伝って王宮内を駆け巡っていた。

 親衛隊の人たちや重臣達を取り仕切って今後のことを話し合い、

 自分達の国をどうするべきかとりあえず方向性だけでも見出そうと

 何時間も話し合っているところを、日向は抜け出してきたのだ。

 「だって、難しいこと、わかんないんだもーん。ね、カイ?」

 隣に座っていたカイに話しかけても返事がない。

 「ねー、カイ。」

 『怒ってるんだから。』

 プイッとそっぽ向いて答える。

 『あんなに無茶して。ほんとに、ほんとに死ぬかと思ったんだから。』

 「そうよ!私も怒ってるんだから。」

 カイの後ろからニコの声がした。

 カイの後ろに隠れてるらしい。
 
 「だからヒナタに顔なんかみせてやんない。しばらく口もきいてやんない。」

 あわててカイのほうをみてもニコの姿はなかった。

 「ヒナタなんか・・・。ヒナタなんか・・・。うわああああん。」

 カイは困ったように後ろを見ている。

 「カイ・・・。ニコ・・・・。」

 ニコが泣くと自分も辛い。
 
 「ヒナタのばかぁ〜。どんなに心配したか。」

 「ごめんね。ごめんなさい。カイ。ニコ。」

 そういってカイとその後ろにへばりついてるニコを一緒に抱きしめた。

 「ごめんね。」

 ニコの涙がうつったのか涙が出てきて止まらなくなってしまった。

 ほんと、心配かけたね。

 こんな予言の少女でごめんなさい。

 どうしてもどうしても直接会って話すことしか私の頭の中には浮かばなかった。

 こんな私をいつもサポートしてくれて、

 ありがとうね。


 
 感謝の気持ちでいっぱいになった。




 すると、空に向って光が城の中から飛び出たかと思うと、シャワーのように

 国中にキラキラとピンク、黄色、緑、青、いろんな色の光が降り注いだ。

 「何これ?」

 「リリが、みんなの記憶を解放したんだ。たぶん、封印していた鏡を割ったんだと思う。」
 
 みんなの記憶?

 「そう、クーデター要素の記憶。こんなにたくさんの人たちの記憶を
 
 集めて鏡の中に閉じ込めていたんだね。
 
 ある意味、凄い能力だよ。」
 
 キラキラと降り注ぐたくさんの人たちの記憶は、幻想的でとても綺麗だった。

 「綺麗だねー。」

 「うん、綺麗だねー。」

 抱きしめあったまま、私たちは空を見つめ続けた。

 







 この国の人たちの想いがこんなに綺麗なら、

 きっとスターター国は大丈夫だね。

 














 







 

 




  









    






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