第三章 6





  



 

 

 夜中に来いって女の子に対して言うセリフじゃないよね。

 まったくあの自己チュー王子ときたら・・・・。


 そう、私はあの後メイド頭の人に姿形を説明して誰だか聞いてみた。

 すると、驚く答えが返ってきた。

 「あ〜、それはアラン王子ね。それがどうかしたの?」

 はぁ。やっぱりね。嫌な予感はしてたのよ。

 なんでよりにもよってスターター国第一王子と遭遇するのかね。

 彼は魔術にたけているだけでなく、10人いる王子の中で一番キレ者だといううわさだった。

 それに、女関係でもかなり派手にやってるらしい。

 まあ、あの容姿からだとしょうがないだろう。

 そんな人とはなるべく関わりなくこの国を出たかったのに。。

 しかも向こうは私の正体を知ってるような口調だったし。私をどうするつもりなのかしら。

 王宮内にあるからニコとは連絡取れない状況だし、
 
 もちろん、ロンとも連絡もとれない。

 自分の判断で動くしかない。

 




 夕方までしっかりと普通どおりに働いてがっつりご飯を食べた。栄養を取れるときに取っとかないと、

 何かあったとき体力がもたない。

 それから少しだけ仮眠した。

 この状況でも寝れるってある意味自分はすぶといなぁっと思ったけどさ。

 朝方、眠くて動けなくなるよりよっぽどいい。

 真夜中になって、私はアラン王子の部屋に忍び込んだ。
 
 正面から行くのも正直怖かったし、その後のことを考えるとジャージのほうが動ける。

 幸い、ヤツの部屋は2階だったからすんなり入り込めた。

 ここ、セキュリティあまいぞ。

 ベランダに降り立って緊張してきたから深呼吸・・・・・。

 「まさか、こんなとこから来るとは思わなかったよ。くくくっ。」

 私の存在に気づいて窓を開けた。

 「さあ、お入り。まってたよ、ヒナ。いや、ヒナタ。」

 そういって初めて会ったときのように手を差し伸べられた。

 これにしたがって吉と出るか、凶とでるか・・・・・・・・。

 ロン、祈ってて。

 覚悟を決めて、部屋に入った。

 






 部屋の中は意外と質素だった。ロンの部屋と似てるなぁ。

 「君、お茶でいいかな。」

 アラン王子自ら紅茶を入れている。びっくり。この国の王族はこんなことしないかと思ってた。

 「ふふ。僕はみんなとちょっと違うから。」

 う、またしても口から出てたみたい。

 「ヒナタって面白いねぇ。思ったとおりだ。」

 「 失礼な。大体、なんで私のこと知ってるの?」

 そうだ、なぜ彼が私をわかったんだろうか。怪しすぎる。

 「それは企業秘密さ。」

 クスクス笑いながらはぐらかされた。なんだか、不思議な人。

 つかめない何だか雲みたいな感じ。

 でも、悪意がある感じじゃないな。

 「で、なに?私が一番ほしいものって。」

 早く本題に入りたかった。一分でも時間がほしい。

 「これなんだかわかる?」

 出てきたのは鍵。鍵?

 「君が探してる人が閉じ込められてる部屋の鍵さ。この世で一つしかないから貴重でしょ。

 しかもあの部屋はこの鍵しか開かないように魔法かけられてるから。壊されないんだ。」

 なに?そんな情報はなかったわよ。

 でも、なんで・・・これ。
 
 「これをあげる代わりに僕のお願いを聞いてほしいんだ。」

 「そんなの、これが本当の鍵かどうかわかんないじゃない。」

 そうだ、ここでだまされたら元も子もない。

 「うーん。そういわれてもねぇ。僕は嘘つかないよ。」

 そんな、スターターの国の王子に言われても。信用性が。

 「この国の王子というより、僕自身をみて答えをだしてほしいんだけど。」

 この人・・・・・。私と同じこと言ってる。

 「僕はねぇ、そんなに悪い人間じゃないよ。自分で言うのもなんだけどさ。」

 この人嘘ついてない。なんとなくそう思った。

 「わかった、信じる。でも、あなたのお願いってなに?」

 出来ないこと言われたらどうしよう。

 ドキドキしながら彼の次の言葉を待った。

 「僕を君達と一緒にフォレット国に連れてってほしいんだ。」

 私がひっくり返りそうなぐらいにびっくりしてる頃、

 ニコは・・・・・・・・寝ていた。 

 




 

 

 





  









    






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