第二章 1




     つ、疲れた・・・・・・。

  あの後、3日間宴が行われた。

  正直私はマイムマイムとラジオ体操しかやったこと無いのに

  ダンスを踊る破目になった。

  しかもロンと2人きりで部屋の中央で踊ることに。

  そんなの聞いてないから。

  リードするからとか何とか言ってうまいことのせられたよ。

  最初はひどかったけど二日目になると少しはましになったけどね。

  運動神経には自身があるさ。

  そしたらいろんな大臣とかお偉いさんと踊りまくって

  へとへとになってるところをまた今度は若い人たちと踊って・・・・・。

  永遠に踊らされるかと思ったよ・・・・・・・。

  はぁ。当分、ダンスはいいや。







     それから休むまもなくここ数日、実にハードな毎日を送ってる。

  こっちの世界の勉強やら、

  武道はもちろんのこと、

  礼儀作法まで。

  なんで、ここまで来て・・・・。とブツクサ言っても

  「やるならとことんやるんだよな。」

    ニヤリとロンに言われた。なんだか悔しいからこなしてるんだけど。

  だーけーどーーーーーー。

  どうも、最近おかしい。

  勉強しようと思ったら文房具隠されたり

  気分転換に剣道を竹刀をふろうと思ったら竹刀の中におもりが入ったり。

  礼儀作法を教わる教室を間違って伝えられて

  先生に怒られたり・・・・・。

  なんなんだよぅ。なんだか、小学生のいやがらせにあったみたい。

  たいした害になってないからいいんだけどさ。

  とまあ、休憩時間に動物達に愚痴ってみる。

  みんな、微妙な表情。

  「もしかして犯人知ってる?」

  お互い顔を見合わせてる。

  『でもね、悪いことだって知ってるんだよ。

   それに悪い子じゃあないんだ。』

  ウサギさんらしきものがおどおどして言う。

  そかー、なんか理由があるんだね。

  ここは大人になって我慢してあげるか。

  でも疲れたなぁ。はぁ。

  くまさんらしきものが肩をもんでくれた。

  ううん、いいねぇ。キク〜。

  ありがとよぅ。

  お礼に私も・・・・。て、くまさん大きすぎ〜!!

  みんなでくまさんらしきものに乗っかって遊びはじめた。

  モコモコ気持ちいい〜。癒されるよ。

  みんなありがとうね。あなた達がいなかったらかなり参ってたよ。





     私たちが大騒ぎしてたもんだから小さな女の子がよってきた。

  といってもちょっと遠くの物陰から見てるだけなんだけど。

  うらやましそうに見てるので

  「あなたも一緒に遊ぶ?」

  と言ったら逃げられた。

     キラキラの金髪が綺麗に広がった。

  お姫様みたいな女の子だな。

  『今のが王様の妹だよ。』

  と犬らしきものが言う。

  「そうなんだ。もっとちゃんと見たかったな。」

  『ううん。それはちょっと今は難しいかも。』

  「え?なんで?」

     『今にわかるよ。』

        それからはなぜかぴたりと嫌がらせが止まった。

  「うううう〜ん。」

  それはそれで気持ち悪い。ちゃんと理由がわからないと納得しない。

  それに嫌がらせは止まったけどなんだか視線を感じる。

  ストーカー?私に?

  武道場でつい考え事しながら練習してたらコーナンからゴツンとやられた。

  「練習中に考え事するんだったらよそでやれ。」

  鬼師匠は相変わらず厳しい。

  集中しなくちゃ。





  練習後にコーナンが

  「ヒナタ、ベル様に何かしたか?」

  と聞かれた。

  「ベルってロンの妹?」

  「そうだ、さっきから遠くからずっとお前のこと見てるぞ。」

  視線の犯人はロンの妹?

  何かしたって話したこともないのに?

  ますます謎。どうしたものか。

  「ねえ、コーナン。ベル様ってどんな子?」

  「そうだな・・・。とっても愛らしいぞ。それに兄思いだ。」

  愛らしいか。良い子なんだろうな。

  とにかく話してみよう。

  「ごめん、コーナン。今日はこれで練習終わりにしていい?」

  「もう練習は終わってるんだから好きにしていいぞ。」

  「うん、でも後片付けやってないから。」

  「そんなの気にするな。行ってこい。」

  まるで私が今することを知ってるかのように言ってくれた。

  さすが、鬼師匠!

  視線のほうに向かって走った。

  相手もそれに気づいたのか走った。

  むむ、なんと逃げ足の速い。でも9歳児に負けるもんか。

  どうにか廊下で追いついて声をかけた。

  「あの、ベル様だよね。」

  くるっと振り向いた少女は今まで見たこともないぐらいの美少女。

  腰の辺りまで伸びたふわふわの金髪。

  ロンとおんなじ青い瞳。

  真っ赤なぷりぷりした唇。

  真っ白なクリームみたいな綺麗な肌。

  フリフリのピンクのドレスがとても似合っていた。

  まるで西洋の人形みたい。

  あまりのかわいさにしばし声も出ずに見とれてしまった。

  彼女にそう叫ばれるまでは。

  「あなたなんか、大嫌い!!」

  









    






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