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 いつもどおりの月曜日。

 葵はいつものように屋上庭園に来ていた。

 週末、リョウとリフレッシュしたためか、気分がよかった。

 直の顔を見るまでは。

 「おはよう、葵。」

 「お、おはようございます。」

 なんて顔色が悪いんだろう。寝てないのかな。

 「顔色、ひどいですよ。大丈夫ですか?」

 「・・・・・・。」

 どうしたんだろう。

 葵は直を覗き込んだ。

 それと同時に、直は葵の両手首をつかまれた。

 「な、なにするんです・・・・。」

 抗議しようとした葵の唇に直は自分の唇を押し付けた。

 びっくりした葵だがだんだん体が熱くなっていく。

 乱暴だけどなんてあったかいんだろう・・・。

 最初は触れるだけのキスがだんだん深くなっていく。

 「ん・・・。んぁ・・・。」

 葵は声が自然と漏れてしまった。

 その声で直は唇を離した。

 葵は潤んだ瞳で直を見つめた。

 「オレ、あんなヤツに葵を渡さないから。」

 あんなやつって・・・・。リョウのことでしょうか?

 「オレ、絶対葵を離さないから。」

 離さないって付き合ってもいないのに。

 この人はなんて強引なんだろう。

 「離さないって、まだ付き合ってもないでしょう?」

 「でもあいつとも付き合ってないんだろう?この前、誰とも付き合って無いって言った!!」

 だんだんと直の表情が険しくなってきた。

 「誰とも付き合うつもりはありません。彼は特別な存在なんです。」

 その『特別な存在』というセリフを聞いて直の表情がすっと暗くなった。

 「じゃあ、オレの存在って葵にとってなに?ただの挨拶する程度の人?

 ご飯を食べる仲間?なんなんだよ、それって。毎日、告白してたのに気にもとめてなかったのかよ。」

 いつもと違う直の態度に葵は戸惑っていた。

 「だって、あれってあなたにとっては挨拶みたいなものでしょう?」

 「誰があんな恥ずかしいこと挨拶に使うかよ!オレは、オレは、葵だから・・・・。」

 そこまで言うと直は急にため息つき、

 「わかった。葵は信じてなかったんだね。」

 そういって葵の横を横切って庭園を出て行った。









 取り残された葵は呆然としていた。

 今まで、のほほんとしていた直があんなに激しい人だったとは。

 でもキスは優しくてとろけそうだった。

 そっと唇と触りながらまだほてった体をさすった。

 どうしよう。

 ドキドキが止まらない。

 静まれ、心臓。

 もう、私は人を好きにならないって決めたんじゃない。

 あんな思い二度としたくないって。

 キスされたぐらいで動揺してどうするのよ。

 これもきっと彼の作戦だ。そうに違いない。




 でも・・・・・・。

   いつも彼は真剣だった。

 ちゃんと目を見て私に告白してきた。

 それをごまかしていたのは私。

 私に入り込んでこないように壁をつくっていたのだ。

 毎日、毎日、彼は私の壁を崩していった。

 すべて崩れ去ったとき、私はいったいどうなるんだろう。

  









    






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