19
抱きついてしまってからなんて恥ずかしいことやってるんだと自分をせめてももう遅い。
「オレ、離さないよ。ずっと。君がいやだと言っても。」
そう言いながら腕を回してきた。
あったかい・・・・。
ずっと離してほしくないと正直な自分が言っている。
「オレもすごくやきもち焼くよ?それでもいい?」
彼がやきもち焼くのはもう知っている。彼ならいいとなぜか思ってしまった。
「それに、仕事忙しいよ?会いたいと思っても海外に行ってるなんてことありえるよ?」
「そのときはたくさんお土産買ってきてね。」
私のせりふにくすくすっと笑っていた。
「それにオレ、エッチだよ?」
その言葉には賛成できない。ガバッと離れて文句を言おうと思ったら、
「離さないって言っただろ?それに、葵もエッチになるって。」
「な・・・・。」
真っ赤になって否定しようとしたら口を塞がれた。
軽いキスからどんどん深まっていく。
舌と舌が絡み合いながら、口腔の中をまさぐる。
まるで心の中を探るように・・・。
「ん・・・・。」
声がもれてしまう。その声を拾うかのように、角度を変えて何度も何度もキスをする。
その唇がだんだん下へ下へと・・・・。
「な、なにするんですか〜!!」
あぶない、あぶない・・・。外ですよ、ここは。
「何って決まってるじゃないか。」
ニヤリと笑って続けようとする。
いつの間にか左手が私のシャツの中でうごめいている。
ゴン。
「ううううううう。」
この年で初めてぐーで人を殴りました。しかもみぞおちに。
「もう、調子にのらないでください。」
うずくまる彼を上から見下ろす。
「大体、こんな時間に外ですることですか。」
はぁ〜。ちょっと気を許すとこうなんだから。まったく。
彼から離れて外の景色を眺めに行った。
クリスマスのイルミネーションがいつもより綺麗に見えるのは
きっと心の変化のせいだろう。
彼を受け入れられたことで自分の中でいろんなことが少しずつ変ってきた。
変った自分はいやじゃなかった。
むしろ、その変化を心から楽しもうと前向きな自分がいた。
いつの間にか隣に来ていた彼はすっかりもとの様子。
鼻歌なんか歌ってるから。
そんな、彼の姿がおかしくって、笑ってしまった。
「直さん。」
急に呼んだ私を驚いた目で彼はみた。
「たくさん、ありがとう。そして大好きです。」
屋上で始まった恋。
ずっと2人でいれますようにと星に願った。